日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルクイワシ」の意味・わかりやすい解説
サルクイワシ
さるくいわし / 猿喰鷲
monkey-eating eagle
[学] Pithecophaga jefferyi
鳥綱タカ目タカ科の鳥。フィリピンワシともいう。フィリピンのルソン島、サマル島、ミンダナオ島だけにすむ。全長約85センチメートル。南アメリカのオウギワシとともにワシ類のなかでも最大最強種の一つ。嘴(くちばし)は縦に平たくて鋭く曲がり、足のつめも長大である。頭の羽毛は細長くて冠羽状となり、翼は幅が広くて丸く、尾は比較的細長い。体の上面には褐色、下面には淡くて黒い縦斑(じゅうはん)がある。熱帯林にすみ、カニクイザルを主食としているが、サイチョウなどの大形の鳥類をとらえたり、ときには家禽(かきん)や家畜を襲うこともある。生息数が非常に少なく、現在では絶滅のおそれがあり、保護は国際的な問題となっている。
[高野伸二]