カニクイザル(その他表記)crab-eating monkey
Macaca fascicularis(=M.irus

改訂新版 世界大百科事典 「カニクイザル」の意味・わかりやすい解説

カニクイザル (蟹食猿)
crab-eating monkey
Macaca fascicularis(=M.irus

霊長目オナガザル科の旧世界ザル。インドシナ半島からインドネシアフィリピンにかけて分布し,主として海岸川岸の低地林に生息する。地方差がかなり見られ多くの亜種に分けられる。カニを食べる習性よりその名がつけられたが,野生状態では果実昆虫などを主食としており,とくにカニだけを好むということはない。頭胴長50~60cm,尾長40~50cmで,体重は4~6kgに達する。毛色は灰褐色から赤褐色まで変異が大きい。白い上まぶたが特徴的である。十数頭から50~60頭の複雄複雌群を形成し,個体間には明確な順位関係が認められる。1年中繁殖し,妊娠期間は約6ヵ月,1産1子である。近年,アカゲザルと並んで,実験動物としてよく用いられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カニクイザル」の意味・わかりやすい解説

カニクイザル
かにくいざる / 蟹食猿
crab-eating monkey
[学] Macaca fascicularis

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科の動物。インドシナ半島南部、マレー半島、およびスラウェシセレベス)島を除く東南アジア島々に分布する。体長40~65センチメートル、尾長45~65センチメートル、体重4~8キログラムで、体毛や顔の色には地方差が著しい。海岸近くの低地林を好み、とくにマングローブ林に多くすむ。木の実や葉など植物性食物を中心に、昆虫、カニ、クモなども食べる。20~70頭の複雄群をつくり、雄の間には直線的な順位がある。飼育下の群れでは、雄の間の順位の変動に伴い新たに第1位についた雄が、新生子をかみ殺すという例が知られている。ポリオワクチンの製造などのほか、医学の実験動物としてよく用いられる。

[川中健二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カニクイザル」の意味・わかりやすい解説

カニクイザル
Macaca irus; crab-eating macaque

霊長目オナガザル科。体長約 50cm,尾長約 50cm。体色は黄褐色。体はがんじょうで,頭頂には短い毛冠がある。 10~50頭の群れをつくって低地林にすむが,水辺にもみられる。カニ,貝類,果実などを食べる。東南アジアに分布し,日本には実験用,愛玩用として多く輸入される。

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