日本大百科全書(ニッポニカ) 「カニクイザル」の意味・わかりやすい解説
カニクイザル
かにくいざる / 蟹食猿
crab-eating monkey
[学] Macaca fascicularis
哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科の動物。インドシナ半島南部、マレー半島、およびスラウェシ(セレベス)島を除く東南アジアの島々に分布する。体長40~65センチメートル、尾長45~65センチメートル、体重4~8キログラムで、体毛や顔の色には地方差が著しい。海岸近くの低地林を好み、とくにマングローブ林に多くすむ。木の実や葉など植物性食物を中心に、昆虫、カニ、クモなども食べる。20~70頭の複雄群をつくり、雄の間には直線的な順位がある。飼育下の群れでは、雄の間の順位の変動に伴い新たに第1位についた雄が、新生子をかみ殺すという例が知られている。ポリオワクチンの製造などのほか、医学の実験動物としてよく用いられる。
[川中健二]