日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルビ」の意味・わかりやすい解説
サルビ
さるび
Nicola (Niccolò) Salvi
(1697―1751)
イタリアの建築家、彫刻家。「トレビの噴水」の作者として有名。ローマに生まれ、建築家カネバリAntonio Canevari(1681―1750ころ)に師事する。1732年ローマのサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ聖堂のファサードのコンクールには敗れたが、同年に行われたトレビの噴水のコンクールにはフランスの彫刻家シジスベール・アダムやブーシャルドンらの競争者を破って入選、名声を博す。これは、古代ローマの凱旋(がいせん)門を模したファサードのあるパラッツォ・ポーリの中央に海神ネプチューンが立ち、その周囲にトリトンが馬を馳(は)せているという創意にあふれたダイナミックな設計で、ローマのバロック芸術の掉尾(ちょうび)を飾るにふさわしい噴水である。ただし最終的には彼の死後1762年にジュゼッペ・パンニーニによって完成された。サルビはバンビテルリと共同で、ベルニーニの設計したパラッツォ・オデスカルキの拡張も行っている。
[篠塚二三男]