日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルメンエビネ」の意味・わかりやすい解説
サルメンエビネ
さるめんえびね / 猿面海老根
[学] Calanthe tricarinata Lindl.
ラン科(APG分類:ラン科)の常緑多年草。短い偽球茎が連なる。葉は3、4枚束生して倒卵形、長さ15~25センチメートル、幅6~8センチメートル、縦じわが目だつ。5~6月、葉の間から30~50センチメートルの花茎を伸ばし、径約3センチメートルの花を10個ほどややまばらにつける。萼片(がくへん)と花弁は黄緑色を呈し、平開する。唇弁は基部に1対の側小裂片があり、中裂片は大きく赤茶色、縁(へり)がひだ状に波打ち、中央に隆起が3本走る。距(きょ)はない。おもに冷温帯の落葉樹林下に生え、北海道から九州、および中国、インド北部に分布する。名は、赤く、しわのある唇弁を猿の顔に見立てたもの。
[井上 健 2019年5月21日]