改訂新版 世界大百科事典 「サンタフェ街道」の意味・わかりやすい解説
サンタ・フェ街道 (サンタフェかいどう)
Santa Fe Trail
アメリカ南西部の最も著名な通商路。ミズーリ川沿いの町インディペンデンスから,ニューメキシコ州サンタ・フェに至る約1300kmの道路で,隊商の旅は2~3ヵ月かかった。スペイン領時代のサンタ・フェには,アメリカ人は入ることができなかったが,1821年のメキシコ独立によって,町はアメリカ商人にも開放された。彼らは織物や金属製道具など工業製品を運び,メキシコ産の銀,銀製品,毛皮,陶器などと交換して,莫大な利益を得た。サンタ・フェとの通商は,ミズーリ川周辺の開拓地の経済にとって,東部との取引に必要な銀をもたらす点で重要であったが,インディアン,とくにコマンチ族による襲撃の危険があった。そのため,幌馬車隊が組まれ,騎兵隊によって守られたこともあった。アメリカ領(1848)になってからも通商は盛んで,カリフォルニアへの交通路としても利用されたが,サンタ・フェ鉄道の開通(1880)により役割を終えた。
執筆者:岡田 泰男
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