カリフォルニア(読み)かりふぉるにあ(英語表記)California

翻訳|California

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリフォルニア」の意味・わかりやすい解説

カリフォルニア
かりふぉるにあ
California

アメリカ合衆国西部、太平洋岸の州。別称ゴールデン・ステート。面積41万1013平方キロメートルで、日本の約1.1倍にあたる。人口3387万1648(2000国勢調査速報値)。南北約1250キロメートルと細長く、北半分の中心がサンフランシスコ、南半分の中心がロサンゼルスである。州都サクラメントコースト山脈とシエラ・ネバダ山脈が並行し、その間にカリフォルニア盆地が挟まる。コースト山脈のほぼ中央に開口部が太平洋に向かって開き、沈水してサンフランシスコ湾を形成している。シエラ・ネバダ山脈の南端に位置するホイットニー山(4418メートル)はアラスカを除く合衆国の最高峰で、その南東にあるデス・バリー(死の谷)は海面下85メートルで合衆国でもっとも標高の低いところである。シエラ・ネバダ山脈には環太平洋火山帯が重なり、シャスタ山(4317メートル)、ラッセン・ピーク(3187メートル)などの火山がある。気候は、北半の西岸海洋性、南半の地中海性、山岳高地の高山、南部のステップ・砂漠の4気候区をもつ。変化に富む地形と多様な気候によって、多彩な動植物相と自然景観がみられ、ヨセミテ、キングズ・キャニオン、セコイア、ラッセン・ボルケニック、レッドウッドの5国立公園のほか、自然保護区や州立公園も多く、観光の州としても著名である。

 第二次世界大戦後の太平洋時代に入ってからの発展は著しく、いまや合衆国でもっとも力のある州となった。人口は、1920年には全米第8位であったが、1940年には2位となり、1970年にはニューヨーク州を抜いて1位となった。2000年の人口3387万余はカナダの全人口より多い。州の製造品出荷額は3796億ドル(1997)で、全米の10分の1に相当する。農業では、コロラド川総合開発などによって灌漑(かんがい)施設が整ってから生産力が飛躍的に向上し、冷蔵・輸送技術の進歩と相まって、現在野菜と果樹の生産で全米第1位を占める。なかでもブドウ、オレンジ、レモン、モモ、プラムなどで群を抜き、米、トマト、レタスなども全米の市場へ送られる。酪製品、肉牛でも首位で、牛乳、綿花、鶏肉、シチメンチョウなども上位である。工業においても、前述の製造品出荷額のほか従業員数、付加価値生産額のいずれの分野でも第2位のニューヨーク州を大きく引き離しており、全米のほぼ10%を占める。主要製品は航空機、自動車、電気機器、食品である。サン・ホゼ市を中心とするサンタ・クララ谷には航空機のロッキード社、電算機のIBM社、自動車のフォード社、電気機器のGE社などの主力工場が集積しているが、近年はさらにIC、LSIなど電子工業の先端部門の成長が著しく、シリコンバレーとよばれ、世界一の高度技術集積地帯として注目を集めている。カリフォルニア州立大学、スタンフォード大学など水準の高い研究教育機関の果たしている役割も大きい。鉱業は総生産額でテキサス州に次いで第2位である。石油はテキサス州、アラスカ州ルイジアナ州に次いで4位であるが、アスベスト、ホウ素、ナトリウム鉱、タングステン鉱などで第1位のほかセメントも首位にあり、種類が豊富である。林業も重要産業で、国有林面積ではアラスカ州に次ぐ。

 1984年に二度目のオリンピック開催地となったロサンゼルスは、ニューヨークに次いで人口全米第二の大都会で、サンフランシスコも12位である。サンフランシスコは太平洋岸の良港で、ロサンゼルスも人工港をもち、ともに合衆国の太平洋への門戸として繁栄し、日本との関係も深い。映画の都ハリウッドや高級住宅街のビバリー・ヒルズ、青い海で若人に人気のサンタ・モニカもこの州にある。住民はメキシコ系のほか、日本人、中国人など東洋人も多く、カリフォルニア農業の発展に日本人移民の果たした役割は大きかった。サンフランシスコのチャイナタウン、ロサンゼルスのリトル・トーキョーなどに人種・文化の混合の典型をみることができる。

[伊藤達雄]

歴史

1542年スペイン帝国の航海士フアン・ロドリゲス・カブリリョJuan Rodríguez Cabrillo(?―1543)が今日のカリフォルニア州にあたる海岸線を航海した。それから200年以上を経た1769年、スペイン王の命によりガスパー・デ・ポルトラGaspar de Portolá(1723?―1784?)は伝道士と兵士を率いてカリフォルニアの本格的植民に着手し、インディアンを支配下に置きながら伝道区を設置した。他方、北方からはロシア帝国の商人が毛皮取引を求めて南下し、1812年にはサンフランシスコの近郊にフォート・ロスFort Rossを建設した。1822年メキシコ共和国のスペイン帝国からの独立に伴いメキシコ領となるが、1848年メキシコ戦争(1846~1848)によるグアダルーペ・イダルゴ条約の結果、アメリカ合衆国の領土となる。同じころシエラ・ネバダ山脈で金鉱が発見され、ゴールド・ラッシュが起こり、人口が急増し、1850年には第31番目の自由州として連邦に加盟が認められた。

[庄司啓一]


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