改訂新版 世界大百科事典 の解説
サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ教会 (サンパオロフオリレムーラきょうかい)
San Paolo fuori le mura
イタリアのローマにある初期キリスト教時代創建のバシリカ式教会堂。〈フオリ・レ・ムーラ〉とは,(古代ローマ市の)城壁外の意。オスティア街道沿いのこの場所には,もと聖パウロ(サン・パオロ)の記念堂があったといわれる。起工は4世紀前半で,400年ころ完成。テオドシウス大帝とその一族の庇護をうけ,サン・ピエトロと並ぶ,ローマの重要な教会堂とされた。内陣の凱旋門形アーチ壁面には,ホノリウス帝の妹ガラ・プラキディアの寄進による,《ヨハネの黙示録》の場面を表した壮大なモザイクが施され,身廊側壁は《使徒行伝》の諸場面で飾られた。1823年火災で身廊と天井が焼けた後,現在の建物が再建された。火災前の姿はローマのサン・マルティーノ・アイ・モンテ教会の壁画(17世紀)や,ピラネージのエッチング(18世紀末)からしのばれる。
執筆者:浅野 和生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報