エッチング(読み)えっちんぐ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エッチング」の意味・わかりやすい解説

エッチング
etching

銅版画の一技法。銅板に直接刻みつけるエングレービングドライポイントなどと異なり,腐食液を利用して製版する腐食凹版技法。まず磨いた銅板の版面に,腐食を防ぐグラウンド (アスファルト,蜜ろう,樹脂など) を薄く均一に塗る。その上から針を用いて銅板が露出する程度の強さで線描する。描き終ったのち,銅板の裏面および側面の腐食を防ぐ止めニスを塗り,硝酸 (塩酸,塩化第二鉄) 液に浸して描線の部分を腐食させる。この腐食によってできた線にインキを詰め,エッチング・プレスを使って刷る。この通常のエッチング技法のほか,次の3つのエッチング技法がある。 (1) ディープ・エッチング これは直接銅板に防食液などで描き,他の部分を腐食し,描いた部分が凸部となるように製版する。そして凸部にインキを載せて刷る。したがってこれは凸版技法であり,リリーフ・エッチング,ティポなどともいわれている。 (2) ソフト・グラウンド・エッチング 獣脂を混ぜてつくったソフト・グラウンドを版面に塗り,その上に薄紙を載せて鉄筆鉛筆などで描く。紙をはがすと描いた部分のグラウンドも紙についてはがれ,その部分が腐食される。 (3) リフト・グラウンド・エッチング 砂糖溶液,墨汁アラビアゴムなどの混合液で版面に直接描く。その上からグラウンドを全面に塗る。これをぬるま湯に浸すと描かれた部分のグラウンドが持上げられ,版面からはがされる。これを腐食液に浸せば,グラウンドがリフトされ,はがされた部分が腐食される。この方法は,砂糖を用いるため,シュガー・アクアチントとも呼ばれる。

エッチング[半導体]
エッチング[はんどうたい]
etching

レジストにつくったパターンのとおりに,その下の薄膜あるいは基板を加工する技術。「蝕刻」と訳し,レジストで覆われていない部分を溶かして除去する。 LSIの製造工程で,ウェハーにレジスト溶液を塗り,ガラス・マスクに描かれた ICパターンを光で転写,パターン以外の不要部分のレジスト溶液を除去する。エッチングは,残ったレジスト以外の部分を溶かすが,高温ガスやプラズマ,反応性イオンを用いるドライ・エッチングと,溶液中に半導体基板を浸すウエット・エッチングがある。加工の微細化が進むにつれてドライが主流になっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エッチング」の意味・わかりやすい解説

エッチング
えっちんぐ

銅版画

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