ザングウィル(その他表記)Israel Zangwill

改訂新版 世界大百科事典 「ザングウィル」の意味・わかりやすい解説

ザングウィル
Israel Zangwill
生没年:1864-1926

イギリス作家シオニズム運動家。ロシアから移住しロンドンイーストエンド貧困の生活にあえぐユダヤ教徒たちの生活を,《ゲットーの子供たち》(1892)など一連の作品で描き出した。ヘルツルの影響のもとに,パレスティナ以外の地にユダヤ人国家を建設することに情熱を傾け,ウガンダその他の地域へのユダヤ人入植を計画したが失敗バルフォア宣言の発表後はこれを歓迎した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ザングウィル」の意味・わかりやすい解説

ザングウィル
Zangwill, Israel

[生]1864.2.14. ロンドン
[没]1926.8.1. ミドハースト
イギリスのユダヤ系作家,ジャーナリスト。ロンドン大学卒業後,一時教職についたが,ジャーナリストを志し,ユダヤ文化季刊誌『エアリエル』の編集者となった。イギリスのユダヤ人問題,シオニズムに関心をもち,バーゼルのシオニスト集会にも参加。主著『独身者のクラブ』 Bachelor's Club (1891) ,『ゲットーの子供たち』 Children of the Ghetto (92) ,『ゲットーの悲劇』 Ghetto Tragedies (93) ,『エリヤマント』 The Mantle of Elijah (1900) 。詩やエッセーにもユダイズムに対する鋭い論理的知性がうかがえる。

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世界大百科事典(旧版)内のザングウィルの言及

【メルティング・ポット】より

…多様な人種,民族による多様な文化がアメリカ社会で溶け合い,新しい生活文化を形成していると考え,その状態をいうときの表現。このようなアメリカ社会をテーマにしたユダヤ系イギリス人の劇作家ザングウィルIsrael Zangwill(1864‐1926)の同名のドラマからこの言葉が広まった。しかし1960年代の黒人革命以来,各少数派集団の発言権が高まり,各人種,民族がそれぞれの文化の特色を失わず,それが全体の調和を構成する複合的な文化多元主義cultural pluralismの国を目ざすべきだという考えが強まると,メルティング・ポットに代わって〈鉢に盛られたサラダsalad bowl〉という表現が使われるようになった。…

【メルティング・ポット】より

…多様な人種,民族による多様な文化がアメリカ社会で溶け合い,新しい生活文化を形成していると考え,その状態をいうときの表現。このようなアメリカ社会をテーマにしたユダヤ系イギリス人の劇作家ザングウィルIsrael Zangwill(1864‐1926)の同名のドラマからこの言葉が広まった。しかし1960年代の黒人革命以来,各少数派集団の発言権が高まり,各人種,民族がそれぞれの文化の特色を失わず,それが全体の調和を構成する複合的な文化多元主義cultural pluralismの国を目ざすべきだという考えが強まると,メルティング・ポットに代わって〈鉢に盛られたサラダsalad bowl〉という表現が使われるようになった。…

※「ザングウィル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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