しとと(読み)シトト

デジタル大辞泉 「しとと」の意味・読み・例文・類語

しと‐と

[副]
動作などが勢いよく急であるさま。
「政清が郎等太刀をぬき、立ちてまかりいで―うつ」〈保元・中〉
優しく肩などを打つさま。
「打ち解け思ひ晴らさうと―打ってぞたらしける」〈浄・堀川波鼓
ぴったりとつくさま。密着するさま。
しっぽりと積るつらさを語らんと―寄れば」〈浄・出世景清

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「しとと」の意味・読み・例文・類語

しと‐と

  1. 〘 副詞 〙
  2. 動作などが勢いよく急であるさまを表わす語。
    1. (イ) したたかに打つさま。勢いよく打つさま。したたかに。はげしく。さっと。
      1. [初出の実例]「少将、いといたくなすぐだちそとて、しとと打ち給へば」(出典:落窪物語(10C後)一)
    2. (ロ) 刀などで勢いよく切るさま。烈しく切りつけるさま。さっと。はっしと。はったと。
      1. [初出の実例]「政清が郎等太刀をぬき、立てまかり出、しととうつ」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
    3. (ハ) やさしく穏やかに打つさま。そっと。
      1. [初出の実例]「ふたりの恋路一対のすずやかはらやかはるなと、しとと背中をたたいてのばすやくんやに」(出典浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)職人尽し)
    4. (ニ) 動作が急で、はぎれのよいさま。ぱっと。ひらりと。さっと。
      1. [初出の実例]「びんしととかき、ゑぼし打着て」(出典:長門本平家(13C前)一)
  3. 物が密着しているさま、また、動作が同時であるさまを表わす語。ぴったり。
    1. [初出の実例]「これもしとと足にあひて」(出典:名語記(1275)六)

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