改訂新版 世界大百科事典 「シャルルダンジュー」の意味・わかりやすい解説
シャルル・ダンジュー
Charles d'Anjou
生没年:1226-85
フランス王ルイ8世の子。アンジューとメーヌの伯。結婚によってプロバンスを獲得してさらにピエモンテに勢力を拡大。ホーエンシュタウフェン家(シュタウフェン朝)と対立している教皇庁からシチリア王位を与えられ(1259),イタリアに南下してベネベントでフリードリヒ2世の子マンフレディを破って南イタリアの支配権を得た(1266)。彼はイタリアと南フランスを基盤に大地中海帝国を建設する野心を抱き,兄のルイ9世(聖ルイ)とともにチュニスを攻撃し(1270),コルフ島やドゥレスを征服してアルバニア王,エルサレム王を称した。しかしその圧制のために〈シチリアの晩鐘〉事件が生じ(1282),シチリア島をアラゴンに奪われたが,アンジュー家の南イタリア支配は15世紀まで続いた。シャルルはきわめて野心的であったが,同時に深い信仰をもつ剛直な武将であったと伝えられている。
→アンジュー家 →シチリア王国
執筆者:清水 廣一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報