日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャープール」の意味・わかりやすい解説
シャープール(1世)
しゃーぷーる
Shāpūr Ⅰ
生没年不詳。ササン朝ペルシア第2代皇帝(在位242~273)。父アルダシール1世時代に養成された強力な軍隊を受け継ぎ、政治体制の中央集権化を推進してササン朝の基礎を固めた。東はクシャン帝国に攻撃を加えて中央アジアに進出し、西はシリアに侵入して260年にローマ皇帝ウァレリアヌスを捕虜とした。その勝利を記念した浮彫りがナクシュ・イ・ロスタムやビジャープール(ともにイラン南部、ファールス州の遺跡)の岩壁に刻まれている。従来の円形都市にかえて、ギリシアの影響を受けた長方形都市を建設。ゾロアスター教を尊重するとともに、マニと親交を保ち、マニ教を保護した。学問に関心が深く、ギリシアやインドの医学、天文学、哲学など多方面の文献を翻訳させた。
[小玉新次郎]