改訂新版 世界大百科事典 「シュニットガー」の意味・わかりやすい解説
シュニットガー
Arp Schnitger
生没年:1648-1719
ドイツのオルガン製作者。グリュックシュタットのB.フスのもとで修業した後,ハンブルクに工房をもち,40人以上の弟子と共に,ハンブルク聖ニコライ教会(4段鍵盤,67個ストップ)をはじめ,北ドイツ一円の諸都市,さらにオランダ,イギリス,スペイン,ポルトガル,モスクワなどヨーロッパ各地の大聖堂や教会に,160台に及ぶオルガンを製作した。ネーデルラント,北ドイツのオルガン製作の伝統を集大成した大規模で複合的な彼のオルガンは,北ドイツにオルガン音楽の興隆を促し,J.S.バッハの音楽形成にも大きな影響を及ぼした。現存する彼のオルガンの中で,改良,誤った修復等の手を加えられず,製作当時の響きを保つものとして,北ドイツのシュターデ,ハンブルク・ノイエンフェルデ,カペル,シュタインキルヘン,デーデスドルフ,ノルデン,オランダのフローニンゲン,アウトハウゼンなどのものがあげられる。彼の死後息子フランツ・カスパールFranz Caspar(1693-1729)は,工房をオランダのズウォレに移し,ズウォレ,カンペン,アルクマール等オランダ各地にオルガンを製作した。
執筆者:植田 義子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報