オランダ北東部、フローニンゲン州の州都。人口17万4250(2001)。オランダ北部の拠点都市で、運河化されたドレンツェ川、ヒュンゼ川の合流点に位置し、エムス運河でエムス川河口に通じるなど、水陸交通の結節点をなす。農産物交易などの商業が行われ、精糖、繊維、出版などの工業も発達する。史料上の初見は1006年で、その後ユトレヒト司教領に編入され、十字軍に船を提供したこともある。1284年までにはハンザ同盟に加入し、商業都市として繁栄した。周辺のフリジア(フリース)人系農村領主とは絶えず対立し、独立戦争でも反スペインにたつ領主側に対し、ハプスブルク家に忠誠を誓ったが、1594年にマウリッツ総督に攻略された。フローニンゲンと周辺農村が一つの州に統合されるのは、ようやく1795年になってからである。市内には13世紀のマルティニ教会や1614年創立の総合大学がある。
フローニンゲン州は、東をドイツ国境に接し、北はワッデン海に臨み、西フリジア諸島の小島嶼(とうしょ)を含む。総面積2967平方キロメートル、陸地面積2335平方キロメートル、人口56万6489(2001)。地形は低平で、北部に海成粘土、南部に砂質土が分布し、ワッデン海沿岸と南東部の泥炭地には干拓地が広がる。このため農牧業が主産業で、大規模な自作農による麦類、ジャガイモ、テンサイの栽培や酪農が行われ、南東部の湿地開拓村が畑作の中心となっている。1960年代に天然ガス田が発見されてからは工業化も進んでいる。
[長谷川孝治]
オランダ北部の同名州の州都。人口18万0604(2005)。北部最大の商工業都市で,縫製,金属加工,精糖,印刷などの軽工業がおもな工業であり,また穀物取引所や青果・花卉市場がある。北部の中心都市であるだけに国の出先機関も多く,フローニンゲン大学(1614創立)をはじめ各種の高等教育機関,博物館などの文化施設も多い。近年は天然ガスの採掘が市の周辺から西部にかけて大規模に行われており,オランダ・ガス連合の本社もある。都市になった年代は不明であるが,12世紀半ばにはすでに都市壁をもった商業都市として現れており,北欧やイギリス,ドイツとの取引が盛んであった。15世紀にはハンザ同盟都市となった。市は州内唯一の都市として周辺農村に対して経済的な強制権を行使していたために,長い間にわたって周辺農村との対立に悩まされた。17~18世紀の共和国時代はとくに目だった発展はなかったが,19世紀末以降再び経済的に活況を呈し,現在にいたっている。
執筆者:佐藤 弘幸
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…ハーグ南西のフック・ファン・ホラントからわずかに湾曲して北上する沿岸部には新旧の砂丘があって北海に対し天然の堤防となり,その内側の土地は海面より低く(最低点は約-6m),主として海成または河成粘土と泥炭からなる。北ホラント州の北端デン・ヘルデルDen Helderから北東方に弧を描いてフリージア諸島が延び,その内側にはワッデン海を隔ててフリースラント,フローニンゲン両州の海岸が続く。堤防の内側の海成粘土と泥炭の地域は干拓され肥沃な農地に変えられた。…
※「フローニンゲン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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