ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショーレム・アレイヘム」の意味・わかりやすい解説
ショーレム・アレイヘム
Sholem Aleichem
[没]1916.5.13. アメリカ合衆国,ニューヨーク,ニューヨーク
ウクライナ生まれのユダヤ作家。本名 Sholem Rabinovitsh(Sholemは Shalomまたは Sholomとも綴られる)。東ヨーロッパのユダヤ人コミュニティでの生活をユーモアを交えて描いた人気作家で,数多くのイディシュ語作品を発表した。少年時代から書くことに没頭し,17歳でロシア語の家庭教師になる。その後,ルブヌイでクラウンラビ crown rabbi(政府に対するユダヤ人社会の公式代表で聖職ではない)を務めた。ルブヌイ滞在中の 1883年発行の『小さな理想をもった小さな人々』Kleine Mentshelech mit Kleine Hasoges以来,約 40編の作品を残し,イディシュ文学の第一人者となった。独自のダイナミックな,また豊富なイディオムを駆使した文体で,ユダヤ人の民俗的背景をもった庶民の生活を明るく描いた作品が多いが,他面心理的に深く掘り下げたものや風刺的なものもある。第1次世界大戦の勃発でアメリカ合衆国に渡り,その地のゲットーも描いた。代表作『牛乳屋トビエ』Tewje der Milchigerは,『屋根の上のバイオリン弾き』The Fiddler on the Roofのタイトルでミュージカル化(初演 1964)された。ほかに『ナイフ』Dos Messerlなど。また文学年刊誌『イディシュ文学』Die Yiddishe Folksbibliotek(1888~89)を発刊した。
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