スイスとイタリアの国境シンプロン峠を挟んで、ローヌ河谷とベドロ河谷を結ぶアルプス横断の鉄道トンネル。単線型トンネル2本よりなる。第一トンネルは長さ1万9803メートル、1898年着工、1906年6月1日開通。第二トンネルは長さ1万9824メートルで、1922年に開通した。開通時より電化されて、電気機関車牽引(けんいん)により列車運転が行われた。トンネルのスイス側にブリーク駅、イタリア側にイゼーレ・ディ・トラスクエーラ駅がある。長らく世界最長の鉄道トンネルとして知られていたが、1982年、日本の大清水(だいしみず)トンネル(上越新幹線、長さ2万2221メートル)の開通によって1位の座を退いた。
[青木栄一・青木 亮]
スイスのブリークとイタリアのイゼーレ間にある並列した2本の単線型鉄道トンネル。1898年着工し,工事中の換気,湧水処理,事故時の対策に役だつように,お互いの間隔が17mで200mごとに連絡坑をもつ先進導坑(幅3.4m,高さ2.4m)2本を掘削し,うち1本を拡幅し1906年に完成させた。延長は19.803kmで,アルプスのレオネ山の山腹を貫くため土かぶりも2150mと厚く,地質は片麻岩で硬く,強大な地圧,山はね(岩片が飛び散る現象),最高56℃の地熱,温泉,大湧水(800l/s)などに遭遇し,工事は難航した。複線化のための2本目は6年後の12年から着手,それまで放置されていた導坑を拡幅して22年に開通している。延長は19.823kmで,完成以来約70年間,世界で最長の山岳トンネルとして君臨していたが,上越新幹線の大清水トンネル(延長22.221km)の出現でその座を譲った。
執筆者:岩田 敏雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Simplon Tunnel
スイスのローヌ川上流のブリグ(Brig, 標高684m)からイタリアのアンチゴリオ谷の支流ディベリア谷のイゼール(Iselle, 634m)まで,長さ20,044m。工期1898~1905年。Pennin帯の下部を占めるジンプロンデッケ群とゴットハルト地塊を貫き,デッケ説が盛んに議論されていたとき,それを実証したことで有名。最高55℃に達する地温と多量の湧水による難工事でも知られ,トンネル工学上でも有名。H.SchardtやM.Lugeonは事前にデッケ説を述べ,前者はこの工事中に内部の地質を調査し発表した。
執筆者:山下 昇
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
…当初は50年かかっても不可能といわれていたこの事業は,57年に予定工期25年で起工にこぎつけ,13年という一般の予想を大幅に覆す短い工期で71年には開通を見ることができた。これが刺激となって,この後ヨーロッパをはじめ世界各地で,大小の鉄道トンネルが計画,実行され,各種の技術の改良が進み,ザンクト・ゴットハルト鉄道トンネル(スイス~イタリア,全長15km,工期1872‐82)や,シンプロン・トンネル(19.8km)など,数々の新しい記録がつくられていった。 モン・スニ・トンネルの開通した71年は,日本最初の鉄道が新橋~横浜間に開通した年である。…
※「シンプロントンネル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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