ジオキソ二硝酸(読み)ジオキソニショウサン

化学辞典 第2版 「ジオキソ二硝酸」の解説

ジオキソ二硝酸(N-N)(2-)(塩)
ジオキソニショウサン
dioxodinitric(Ⅰ) acid(dihydrogen dioxodinitrate(N-N)(2-), dioxodinitrate(N-N)(2-))

慣用名の次亜硝酸(H2N2O2(hyponitrous acid)(塩)のIUPAC命名法(1990年)による正式名称.ただし,構造式HO-N=N-OHから見て正しくない.2005年付加的命名法では,構造式に従ってビス(ヒドロキシド窒素)(N-N),bis(hydroxidonitrogen)(N-N).酸:H2N2O2(62.03).エーテル中で,Ag2N2O2にHClを反応させ,濾別した濾液を蒸発すると得られる.無色の結晶.分子構造はHO-N=N-OHで,両側のOHは,N=Nに対してトランス位置にある.固体はきわめて不安定で,-6 ℃ で爆発的に分解する.水溶液も室温ではすみやかに分解する.水,エタノール,エーテルに可溶.二塩基酸で,pK1 7.0,pK2 11.アルカリ性水溶液では溶存するHN2O2がN2OとOHに分解する.[CAS 14448-38-5] 
塩:ジオキシド二硝酸(N-N)(2-)塩(dioxidodinitrate(N-N)(2-),IUPAC命名法).重金属を含む多くの金属の塩が得られている.アルカリ金属塩以外は水に難溶のものが多い.Na塩,Ag塩は,硝酸塩,または亜硝酸塩ナトリウムアマルガムで還元すると得られる.Na塩にはcis-体も存在する.難溶性の塩は,Na塩と各金属塩との複分解でも得られる.Na塩は比較的安定で,無水塩は無色の結晶.300 ℃ で分解する.水に可溶.九水和物(真空脱水で無水物となる)や,水素塩NaO-N=N-OHが固体として得られる.Ag塩は水に難溶で,110 ℃ で分解する.塩酸で酸を遊離する.一般に塩は,還元剤には比較的安定であるが,酸化剤では酸化されやすく,NO2,NO3を生じる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android