亜硝酸塩(読み)アショウサンエン

デジタル大辞泉 「亜硝酸塩」の意味・読み・例文・類語

あしょうさん‐えん〔アセウサン‐〕【亜硝酸塩】

亜硝酸水素アンモニウムあるいは金属置換したもの。酸化剤としても還元剤としても使われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「亜硝酸塩」の意味・わかりやすい解説

亜硝酸塩
あしょうさんえん
nitrite

亜硝酸HNO2の水素が金属で置換されて生ずる塩。一般式MNO2およびM(NO2)2で示される。アルカリ金属アルカリ土類金属、銀、水銀などの塩が知られ、その他の重金属塩は不安定である。アルカリ金属塩は硝酸塩をそのまま、または鉛を加えて熱分解してつくる。その他の塩は亜硝酸ナトリウムとの複分解による。一般に水に溶けやすいが、銀塩は溶けにくい。酸化剤としても還元剤としても働く。遷移金属イオンとは多くの種類の錯塩をつくりやすい。亜硝酸イオンは、硫酸を加えて赤褐色の二酸化窒素を発生することで検出される。ナトリウム塩はジアゾニウム塩合成に用いられる。

[守永健一]


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化学辞典 第2版 「亜硝酸塩」の解説

亜硝酸塩
アショウサンエン
nitrite

MNO2.一般に,無色または淡黄色の固体.アルカリ金属,アルカリ土類金属,重金属の塩が知られている.アルカリ金属塩は熱に対して安定であるが,アンモニウム塩加熱や衝撃で爆発する.重金属塩も加熱により分解する.硝酸塩を弱い還元剤(鉛粉末など)で還元するか,金属水酸化物にNOを作用させると得られる.NO2は,O-N-O折れ線形構造.∠O-N-O110~130°.N-O1.1~1.3 Å.銀塩以外は水に可溶.水溶液は塩基性を示す.水溶液は相手により,酸化剤としても(例:2I→ I2),還元剤としても(例:MNO4→ Mn2+)はたらく.また,NO2金属錯体の配位子となる.N-配位の錯体ニトロ-またはニトリト-N錯体,O-配位の錯体はニトリト-O錯体という.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「亜硝酸塩」の意味・わかりやすい解説

亜硝酸塩
あしょうさんえん
nitrite

亜硝酸の塩類。魚肉などの第一,第二アミンと反応して N-ニトロソアミンをつくり,これが発癌の原因となるおそれがあるといわれる。 N-ニトロソアミンの一種であるジメチルニトロソアミンに強い癌原性があることは,1956年イギリスのマギーらによって発表されている。ハムソーセージなどの発色剤および防腐剤として使われているが,亜硝酸塩は毒性が強く,使用量を誤ると中毒症状を引起すため,きびしい使用基準が課されている。一方,多肥料栽培かあるいは環境汚染の影響か,原因は不明ながら,野菜,特に小松菜,ほうれん草などに硝酸塩が 5000ppmをこえて蓄積された実例が報告されており,これが漬物などで還元されると亜硝酸化するおそれがある。

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栄養・生化学辞典 「亜硝酸塩」の解説

亜硝酸塩

 亜硝酸のナトリウム塩,カリウム塩などで,食品添加物として発色剤に使われる.⇒亜硝酸ナトリウム亜硝酸カリウム

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