硝酸塩(読み)ショウサンエン(その他表記)nitrate

翻訳|nitrate

デジタル大辞泉 「硝酸塩」の意味・読み・例文・類語

しょうさん‐えん〔セウサン‐〕【硝酸塩】

金属やその酸化物炭酸塩などを硝酸に溶かして得られる化合物。水に溶けるものが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「硝酸塩」の意味・読み・例文・類語

しょうさん‐えんセウサン‥【硝酸塩】

  1. 〘 名詞 〙 硝酸の水素原子が金属原子で置換されて生じた塩。一般式 MNO3 広義には、非金属の原子または基で置換されて生じた化合物も含めていう。有機物や酸化されやすい金属との混合物は爆発性があり、硝酸塩混合火薬類の原料として用いられる。〔稿本化学語彙(1900)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝酸塩」の意味・わかりやすい解説

硝酸塩
しょうさんえん
nitrate

一般式M(NO3)n(Mはn価の陽イオン)で示される化合物。陽イオンとしては金属イオン、アンモニウムイオン、その誘導体である多くの有機塩基が知られている。天然には各種の硝酸塩鉱物(たとえば硝石など)として産する。一般に、金属または金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩を硝酸に溶かして得られる。アルカロイドなどのような複雑な有機塩基との塩を除けば、ほとんどすべての硝酸塩は水によく溶ける。アルカリ金属の塩、バリウム塩、銀塩、鉛塩などは結晶水をもたないが、その他の塩は、水溶液から各種の水和物が得られ、無水塩は得にくい。陽イオンに着色の原因がなければ、結晶は一般に無色である。水和物を熱しても無水塩は得られず、塩基性硝酸塩または酸化物に分解する。硝酸銅(Ⅱ)無水塩のように昇華性のものもある。無水塩を加熱するとアルカリ金属の塩は酸素を放って亜硝酸塩に、重金属の塩は酸素と酸化窒素などを放って金属酸化物または金属となる。このため有機物などと爆発性混合物の製造に用いられる。

[守永健一・中原勝儼]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硝酸塩」の意味・わかりやすい解説

硝酸塩
しょうさんえん
nitrate

金属などの陽イオンと硝酸イオン NO3- から成る塩。一般に水溶性。熱すると酸素を放出して亜硝酸塩となるが,重金属塩はさらに分解して酸化物と二酸化窒素となる。したがって硝酸塩は高温ではいずれも強い酸化作用を呈する。水溶液にはこのような酸化作用はないが,アルカリ性で亜鉛,アルミニウムによって還元され,定量的にアンモニアとなる。ニトロンという一種の有機塩基によってだけ難溶性の硝酸塩が沈殿するので,この性質は硝酸イオンの重量分析に利用される。

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岩石学辞典 「硝酸塩」の解説

硝酸塩

硝酸塩は硝酸イオンの化合物で,(NO3)基をもつ鉱物をいうが,他に硝酸塩鉱物の化学的堆積物および有機的堆積物をいう.例えば硝石(saltpetre),カリチ(caliche), グアノ(guano)などがある.よく知られた天然の硝酸塩はチリに産出し,層状の砂状礫が可溶性の塩で膠結されたもので,硝酸カリウム,岩塩(halite),硫酸ナトリウム,硫酸カルシウム,硫酸マグネシウムや少量の他の鉱物を含む[Hatch, et al. : 1938, Bateman : 1942].

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化学辞典 第2版 「硝酸塩」の解説

硝酸塩
ショウサンエン
nitrate

金属と硝酸基とからなる塩.アルカリ金属硝酸塩は天然にも存在する.金属酸化物,炭酸塩と硝酸から複分解により水溶液中から結晶させて得られる.吸湿性で水によく溶け,多種類の水和物をつくる.エタノールや液体アンモニアにも可溶.多価金属イオンの硝酸塩はBi(NO3)Oのような硝酸酸化物塩も知られ,高温では融解前に亜硝酸塩と酸素に分解する.有機物とともに熱すると発火,爆発するものが多い.

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栄養・生化学辞典 「硝酸塩」の解説

硝酸塩

 KNO3,NaNO3など.食肉の発色剤として使われる.

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世界大百科事典(旧版)内の硝酸塩の言及

【硝酸】より

濃硝酸にNO2がさらに溶け込んでいるものを発煙硝酸という。
[用途]
 硝酸は強酸であり,酸化剤として用いられるほか,硝酸塩(工業用硝安など),ニトロ化合物(ニトログリセリン,ニトロセルロースなど),染料中間物,合成繊維(アクリロニトリル系),火薬,爆薬の原料,硝酸性窒素を含む窒素肥料または複合肥料の原料,めっき,酸洗用などの用途がある。【金澤 孝文】
[硝酸塩]
 広義には硝酸HNO3の水素原子Hを基または金属原子で置換した化合物をさす。…

※「硝酸塩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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