翻訳|nitrate
一般式M(NO3)n(Mはn価の陽イオン)で示される化合物。陽イオンとしては金属イオン、アンモニウムイオン、その誘導体である多くの有機塩基が知られている。天然には各種の硝酸塩鉱物(たとえば硝石など)として産する。一般に、金属または金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩を硝酸に溶かして得られる。アルカロイドなどのような複雑な有機塩基との塩を除けば、ほとんどすべての硝酸塩は水によく溶ける。アルカリ金属の塩、バリウム塩、銀塩、鉛塩などは結晶水をもたないが、その他の塩は、水溶液から各種の水和物が得られ、無水塩は得にくい。陽イオンに着色の原因がなければ、結晶は一般に無色である。水和物を熱しても無水塩は得られず、塩基性硝酸塩または酸化物に分解する。硝酸銅(Ⅱ)無水塩のように昇華性のものもある。無水塩を加熱するとアルカリ金属の塩は酸素を放って亜硝酸塩に、重金属の塩は酸素と酸化窒素などを放って金属酸化物または金属となる。このため有機物などと爆発性混合物の製造に用いられる。
[守永健一・中原勝儼]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
金属と硝酸基とからなる塩.アルカリ金属硝酸塩は天然にも存在する.金属酸化物,炭酸塩と硝酸から複分解により水溶液中から結晶させて得られる.吸湿性で水によく溶け,多種類の水和物をつくる.エタノールや液体アンモニアにも可溶.多価金属イオンの硝酸塩はBi(NO3)Oのような硝酸酸化物塩も知られ,高温では融解前に亜硝酸塩と酸素に分解する.有機物とともに熱すると発火,爆発するものが多い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…濃硝酸にNO2がさらに溶け込んでいるものを発煙硝酸という。
[用途]
硝酸は強酸であり,酸化剤として用いられるほか,硝酸塩(工業用硝安など),ニトロ化合物(ニトログリセリン,ニトロセルロースなど),染料中間物,合成繊維(アクリロニトリル系),火薬,爆薬の原料,硝酸性窒素を含む窒素肥料または複合肥料の原料,めっき,酸洗用などの用途がある。【金澤 孝文】
[硝酸塩]
広義には硝酸HNO3の水素原子Hを基または金属原子で置換した化合物をさす。…
※「硝酸塩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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