還元剤(読み)カンゲンザイ(英語表記)reducing agent
reductant

デジタル大辞泉 「還元剤」の意味・読み・例文・類語

かんげん‐ざい〔クワンゲン‐〕【還元剤】

酸化還元反応で他の物質還元し、自身酸化される物質。水素硫化水素アルカリ金属など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「還元剤」の意味・読み・例文・類語

かんげん‐ざいクヮンゲン‥【還元剤】

  1. 〘 名詞 〙 他の物質を還元する能力をもつ物質。水素、硫化水素、二酸化イオウ、塩化第一スズ、硫酸第一鉄、シュウ酸、アルカリ金属など。〔稿本化学語彙(1900)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「還元剤」の意味・わかりやすい解説

還元剤 (かんげんざい)
reducing agent
reductant

物質に作用して,それを還元する単体および化合物の一般的名称。電気陰性度の小さい元素や酸化状態の低い化合物が還元剤になりやすい。単体では,水素,炭素,リンなどの非金属,ナトリウムマグネシウム,金属アマルガム,亜鉛,スズ,アルミニウムなどの金属は還元剤となる。ヨウ化水素,硫化水素,アンモニアとその誘導体,ホスフィンアルシン,金属の水素化物とその誘導体も還元剤として働く。低級の酸化物である一酸化炭素,二酸化硫黄,三酸化二リン,亜ヒ酸亜リン酸亜硝酸も還元剤となる。そのほか第一鉄塩,第一スズ塩,硫化物,フェロシアン化物,低い酸化状態のチタン,バナジウム,クロム化合物,シュウ酸,ブドウ糖なども還元作用をもつ。しかし,還元剤は,反応する相手によって酸化剤にもなり,さらに温度,圧力等の反応条件によって酸化剤,還元剤いずれにもなるものもある。有機化合物の還元は,白金,パラジウム,ニッケル触媒として水素ガスと反応させるか,各種の水素化物,亜鉛・スズなどの金属と酸,液体アンモニアとアルカリ金属を用いる場合が多い。
酸化・還元
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「還元剤」の解説

還元剤
カンゲンザイ
reducing reagent

ほかの物質を還元し,みずからは酸化される物質.水素,不安定な水素化合物(ヨウ化水素,硫化水素,LiAlH4やCaH2などの金属の水素化物),普通の酸化数より低い酸化数をもつ元素の酸化物または酸素酸とその塩(CO,SO2亜硫酸塩),電子を与えやすい金属(アルカリ金属,アルカリ土類金属,Zn)およびそのアマルガム,低原子価金属イオン(Fe2+,Sn2+,Ti3+,Cr2+)を含む塩,硫黄化合物(硫化ナトリウム,硫化アンモニウム),ギ酸,シュウ酸,糖類,ヒドラジン,ヒドロキシルアミン,ヒドロキノン,アスコルビン酸,アルデヒド,ピロガロールなどの有機物がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「還元剤」の意味・わかりやすい解説

還元剤
かんげんざい
reducing agent

ほかの物質を還元する作用をもつ物質。ある物質を還元するとき、還元剤自身は電子を放出して酸化される。水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、炭素などの単体は還元剤としてよく利用され、金属に酸を注いで発生させた発生期の水素はとくに有効な還元剤となる。これらのほか、アルカリ金属や亜鉛のアマルガム、ホウ素やアルミニウムの水素化物、低酸化状態の金属塩、硫化水素、硫化物、チオ硫酸塩、シュウ酸、ギ酸、アルデヒド、アルコール、糖なども還元剤として使われる。酸化・還元反応は相対的であるから、ある系では還元剤となるものが他の系では酸化剤となる場合もあり、そのような例として二酸化硫黄(いおう)、過酸化水素などがある。

[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「還元剤」の意味・わかりやすい解説

還元剤【かんげんざい】

他の物質に還元を起こさせる物質。一般に酸化されやすい物質が還元剤であり,自らが酸化されるときに相手の物質を還元する。水素,硫化水素,ヨウ化水素,一酸化炭素,二酸化硫黄,亜硫酸塩,チオ硫酸ナトリウム,シュウ酸,アルカリ金属,マグネシウム,カルシウム,酸化数の低い化合物など。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「還元剤」の意味・わかりやすい解説

還元剤
かんげんざい
reducing agent

還元を起させる物質。相手を還元し,みずからは酸化を受ける。たとえば,熱した酸化銅に水素を通すと,水素は還元剤として働き,酸化銅を還元して銅にし,みずからは酸化されて水になる。したがってこの場合,酸化銅は水素に対して酸化剤となる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「還元剤」の解説

還元剤

 物質を還元する能力のある物質.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android