普及版 字通 の解説

10画
[字訓] この・これ・ます・しげる
[説文解字]

[甲骨文]

[金文]

[字形] 会意
初形は
(じ)。幺(よう)(糸たば)を並べた形。上部の糸たばの結びめを艸(そう)と誤って
に作り、〔説文〕に字を艸部一下に属して「艸木多
す」と草木滋生の意とし、字を絲(糸)(し)の省声とする。糸を束ねて染め、結びめが白のまま残るのを素といい、素の上部が
の上部にあたる。卜文に字を
に作り、「
(こ)れを用ひよ」、また金文の〔大保
(たいほき)〕に「
(こ)の彝(い)を用(もつ)て命に對(こた)ふ」のように指示詞に用いる。また〔
鼎(こつてい)〕に「絲(こ)の五夫」のように絲を用いることがあり、
・
・絲はもと一字、繁簡の形であることが知られる。〔説文〕は
(滋)字条十一上に「
なり」と滋益の意とする。糸たばが水を含んで量の加わることを
という。[訓義]
1. いと、糸たばの形。
2. 古くには、この、これの意に用いる。
3. 滋と通じ、ふえる、ます。
4. しげる、草木がしげる。
5. むしろ。
6. 今
は、ことし。7. 孜と通じ、つとめる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕
ミマシ・ムシロ・コレ・カクノゴトク・ココニ・トシ・ミマシシク/
カクノゴトク 〔字鏡集〕
カク・マサル・トシ・シゲル・クロシ・ミマシシク・ニゴレリ・ココニ・コレ・コノ[声系]
〔説文〕に
声として
(慈)・
・
など五字を収める。おおむね滋益・滋育の意をもつ語である。[語系]
・
・
tzi
は同声。
dzi
は
dzi
と同声で、
(じ)の字義が加わっている。[熟語]
基▶・
其▶・
▶・
者▶・
飛▶[下接語]
加
・戒
・敬
・怙
・今
・在
・若
・庶
・如
・存
・念
・来
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

