改訂新版 世界大百科事典 「ジャガイモキバガ」の意味・わかりやすい解説
ジャガイモキバガ (馬鈴薯牙蛾)
potato tuberworm
Phthorimaea operculella
鱗翅目キバガ科の昆虫。翅の開張1.1~1.5cm。翅は非常に細く,前翅は淡黄褐色から灰褐色まで変異がある。幼虫はジャガイモの大害虫で,芽,葉,茎,実に食入する。このほか同じナス科のタバコ,トマト,ナス,トウガラシなどにも加害する。貯蔵中のジャガイモの塊茎にも潜り込み大害を与える。中央アメリカが原産地と推定されるが,世界中の温帯から熱帯に広がり,日本には,第2次世界大戦後占領軍によってもち込まれたジャガイモについて侵入し土着したものと推定される。最初に発見されたのは広島県川尻町のタバコ畑で,以降急速に分布を広げ,現在では北海道を除く全域に生息している。温暖地では,冬期に卵から成虫までの各態が見られ,年6~7回の発生を行うが,やや寒冷な地方では,幼虫またはさなぎで越冬し,年3~4回発生する。かつてはGnorimoschema属とされたこともある。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報