スエージング
swaging
棒材を周囲から連続的にたたいて径を小さくする加工法。金床の上で棒をまわしながら,つちでたたくのが最も原始的なスエージングであるが,現在では,1対のダイスがその間隙を変化させながら棒材の周囲を回転する装置が用いられる。ダイスは保持するハウジング(枠組み)に収まり,ばねでつねに間隙を広げるようになっている。これを,周囲の内壁に凹凸のある円形の容器中で,ハウジングごと回転し,ダイスの先端が凹のところにあるときに間隙を広げ,凸のところにあるときに間隙を狭める仕組みになっている。ダイスの間隙が大きくなったとき,棒材を前進させ,しだいに長手方向に加工を進めていく。長手方向に直径の変化をつけることができるので,テーパー状の棒をつくったり,棒材のかわりに管を加工して,たとえば段付きのゴルフのクラブシャフトの製造などに活用されている。作業音がうるさいのが難である。
執筆者:木原 諄二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
スエージング
すえーじんぐ
swaging
金属材料を圧縮成形する鍛造作業の一種。製品のもっとも厚い部分とほぼ同じ厚さの金属板から切り出した素材を用いる。工具または金型を用いて素材材料の一部を押しつぶし、彫り型の輪郭形状どおりに材料を流動させる。加工を受けない部分は元のまま残って製品の一部分となる。スエージングの一種にロータリースエージングrotary swaging、また近年ラジアルフォージングradial forgingとよばれている加工がある。これは、丸棒や円管状の材料を軸の周りに回転させながら工具を用いて材料を一部分ずつ軸と直角の方向に押しつぶして勾配(こうばい)をつけたり、直径を縮めて長さを伸ばしたりする加工のことである。
[高橋裕男]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内のスエージングの言及
【鍛金】より
… また,アフリカでは素朴で力強い造形が鍛鉄で作られているほか,インドの銅,あるいは東南アジア,特にミャンマーやタイにおける銀の細工が鍛金で行われている。 現在では回転動力を利用して,棒材の径をたたいて小さく加工する[スエージング]や,回転する固定木型に金属板をあててへら(篦)で型に合わせて絞り縮めていくスピニング([へら絞り])が行われている。【多田 藍子】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」