改訂新版 世界大百科事典 「スカンジナビア山地」の意味・わかりやすい解説
スカンジナビア山地 (スカンジナビアさんち)
Scandinavian Mountains
スカンジナビア半島の脊梁山脈で,半島の西半を占め,北半はノルウェー,スウェーデンの国境に沿う。今から約4億年前のカレドニア造山運動でできた山脈であるが,現在の山地の高さは中生代以後の断層運動によるものである。第四紀には氷床に覆われ,その浸食で隆起高原に深いフィヨルドとU字谷が刻まれた。氷に刻まれた岩峰は急峻である。ソグネフィヨルドSognefjordは長さ200km,両岸の断崖は1000m以上,水深は1300mに達する。山地の最高部は中央ノルウェーのヨートゥンハイム山地(最高峰ガルヘピッゲン,2469m)で,この西には全長100kmにおよぶヨステダール氷河がある。南で1000m以上,北で数百m以上の山地は裸岩と苔ばかりで,山脈の両側には氷河の削った平原が広がり,多くの湖があって,水力発電用の貯水池の役割を果たしている。河川や湖には,サケやマスが豊富で,いくつもの国立公園があり,国民の憩いの場になっている。
執筆者:太田 昌秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報