すがら(読み)スガラ

デジタル大辞泉 「すがら」の意味・読み・例文・類語

すがら

[名]多く「に」を伴って副詞的に用いる)始めから終わりまでとぎれることがないこと。
「ぬばたまの夜は―にこの床のひしと鳴るまで嘆きつるかも」〈・三二七〇〉
[接尾]名詞などに付く。
始めから終わりまで、…の間ずっと、などの意を表す。「夜もすがら
何かをするその途中で、…のついでに、などの意を表す。「道すがら
そのものだけで、ほかに付属しているものがないという意を表す。…のまま。「身すがら

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「すがら」の意味・読み・例文・類語

すが‐ら

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 多く「に」を伴い、副詞的に用いる ) 初めから終わりまで通すこと。
    1. [初出の実例]「ぬばたまの 夜は須我良(スガラ)に あからひく 日も暮るるまで 嘆けども しるし無み」(出典万葉集(8C後)四・六一九)
    2. 「白露と草葉に置きて秋の夜を声もすがらに明くる松虫〈藤原師氏〉」(出典:新勅撰和歌集(1235)秋上・二二六)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 名詞に付いて、初めから終わりまで続く意を表わす。ずっと。
      1. [初出の実例]「をみ衣摺り捨てて着つる露けさは春の日すから又ぞ忘れぬ」(出典:公任集(1044頃))
      2. 「老婆は帰りの道すがら孫に向って言って聞かせた」(出典:煤煙(1909)〈森田草平〉三)
    2. 何かをするついでに、の意を表わす。その途中。
      1. [初出の実例]「いかなりけん契りにかと、道すがらおぼさる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    3. それだけである意を表わす。そのまま。
      1. [初出の実例]「只身すがらにと出立侍るを」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)草加)

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