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松虫 まつむし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

松虫
まつむし

歌舞伎囃子などに用いられる金属製体鳴楽器。伏鉦 (ふせがね) とも呼ばれる。縁に小さな足が3つある皿型で,普通,大小一組とする。伏せて置きT字型の撞木 (しゅもく) で上面を打鳴らす。マツムシの鳴き声に似ているのでこの名がつけられた。

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デジタル大辞泉の解説

まつ‐むし【松虫】

直翅(ちょくし)目マツムシ科の昆虫。コオロギ類の一種。体長2センチくらい、淡褐色で、触角が長い。雌は錐(きり)状の長い産卵管をもつ。雄は発音器のある幅広い翅(はね)をもち、ススキなどの根際で夜にチンチロリンと鳴く。成は8~11月にみられ、本州以南に分布。 秋》「人は寝て籠の―啼きいでぬ/子規
歌舞伎下座音楽に用いる楽器。小形の伏せ鉦(がね)で、大小一組で使うことが多い。巡礼の出入りや寂しい寺院の場面などに用いる。
スズムシの古名。平安時代には名称が入れかわっていた。また、「松」を「待つ」に言い掛けて、和歌などにうたわれている。
「秋の野に人―の声すなり我かとゆきていざとぶらはむ」〈古今・秋上〉

まつむし【松虫】[謡曲]

謡曲。四番目物古今集などに取材。マツムシの声を慕って草むらで死んだ男の霊が友人恋しさに現れて、虫の音に興じて舞をまう。

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大辞林 第三版の解説

まつむし【松虫】

コオロギ科の昆虫。体長23ミリメートル 内外。頭は小さく、体は舟形で後肢が長く、全体が淡褐色。草原・林にすみ、成虫は8~11月に出現する。雄はチンチロリンと美しく鳴く。古来、鳴く虫の代表として親しまれた。本州以南の各地と中国・東南アジアに分布。 [季] 秋。 《 人は寝て籠の-鳴き出でぬ /正岡子規 》
スズムシの古名。平安時代、マツムシとスズムシの名称は現在と反対であったといわれる。 「虫は、鈴虫、ひぐらし、蝶、-、きりぎりす/枕草子 43
歌舞伎の下座音楽に用いられる楽器。小形の伏せ鉦がね。六部の出や寂しい寺院などに用いられる。

まつむし【松虫】

能の一。四番目物。秋の野に松虫の音を慕って草の露と消えた男の霊が、その跡をしのぶ友の前に現れ、酒を飲んで舞を舞い、やがて消えて行く。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

松虫
まつむし

能の曲目。四番目物。五流現行曲。摂津(せっつ)国(大阪府)阿倍野(あべの)の酒売り(ワキ)の前に市人(いちびと)たち(シテ、ツレ数人)が現れ、古詩を詠じつつ酒を酌むが、シテの男は、松虫の音を楽しむうちに、友達が死んでしまった悲しみを語る。自分がその友に残された男の亡霊であり、市人に混じって現れたと告げる。酒売りの弔いに、ふたたび男の執心(後シテ)が姿をみせ、友をしのぶ心と、野の景色、松虫の音を語り、舞い、明け方の光の中に消えていく。同性愛に近い友への思慕、その突然の死を包み込んだ夜の原、集(すだ)く虫の音を交錯させ、独特の風趣をもつ異色作。最終部分は、独吟、一調などの演奏に好まれる。[増田正造]

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

松虫 (マツムシ)

学名:Xenogryllus marmoratus
動物。マツムシ科の昆虫

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典内の松虫の言及

【鐘∥鉦】より

…念仏講で打つもので,念仏鉦ともよばれる。歌舞伎囃子では伏鉦に大・小の型があり,大きいものが一つ鉦,中双盤,小さいものが松虫である。一つ鉦は余韻のある音を発し,寺院や殺し場など陰惨さを表すときに用いる。…

※「松虫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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