新勅撰和歌集(読み)シンチョクセンワカシュウ

デジタル大辞泉 「新勅撰和歌集」の意味・読み・例文・類語

しんちょくせんわかしゅう〔シンチヨクセンワカシフ〕【新勅撰和歌集】

鎌倉時代勅撰和歌集。20巻。貞永元年(1232)後堀河天皇の勅により、藤原定家が撰し、文暦2年(1235)成立定家仮名序があり、歌数約1370首。代表歌人は藤原家隆藤原良経藤原俊成慈円など。新勅撰集

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精選版 日本国語大辞典 「新勅撰和歌集」の意味・読み・例文・類語

しんちょくせんわかしゅうシンチョクセンワカシフ【新勅撰和歌集】

  1. 鎌倉時代にできた、九番目の勅撰集。二〇巻。歌数は一三七四首。貞永元年(一二三二)、後堀河天皇の命により藤原定家が撰し、文暦二年(一二三五)、最終的に成立した。仮名序を有する。代表歌人は、藤原家隆、良経、俊成、公経、道家、慈円、源実朝など。冷泉家が「新古今集」を重視したのに対し二条家で尊重された。鎌倉幕府関係者の作が多く、「宇治川集」などの異名をつけられたという。新勅撰集。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新勅撰和歌集」の意味・わかりやすい解説

新勅撰和歌集
しんちょくせんわかしゅう

第9代の勅撰和歌集。20巻。1232年(貞永1)6月、後堀河(ごほりかわ)天皇の下命で藤原定家が撰した。しかし成立経過は複雑で、同年10月に20巻の目録と序の草案を奏覧(形式的奏覧)。1234年(天福2)6月、後堀河院の希望で1498首の草稿本清書、奏覧(仮奏覧)、院崩後の11月、前関白藤原道家の要望で後鳥羽院(ごとばいん)ら承久(じょうきゅう)の乱関係歌人の歌を削除。1235年(文暦2)3月、精撰本を道家の手許に届けた(完成)。歌数1374首。春上下、夏、秋上下、冬、賀、羇旅(きりょ)、神祇(じんぎ)、釈教(しゃっきょう)、恋1~5、雑(ぞう)1~5に分類される。入集歌数は、藤原家隆(いえたか)の43首を筆頭に、藤原良経(よしつね)の36首、藤原俊成(しゅんぜい)の35首が多く、定家自身の歌は15首に抑えている。源実朝(さねとも)の歌を25首選入するなど鎌倉幕府関係歌人の歌も載せ、「宇治河集」(武士の歌を多く含む集)とあだ名された。作風は『新古今集』の妖艶(ようえん)に比して平淡優雅で、後世、実を根本とする集と評された。

樋口芳麻呂

『久曽神昇・樋口芳麻呂校訂『新勅撰和歌集』(岩波文庫)』『樋口芳麻呂解説『新勅撰和歌集』(1980・日本古典文学会貴重本刊行会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「新勅撰和歌集」の意味・わかりやすい解説

新勅撰和歌集 (しんちょくせんわかしゅう)

鎌倉時代の歌集。勅撰和歌集の第9番目。藤原定家撰。20巻。歌数1374首。1232年(貞永1)に後堀河天皇の勅により編纂に着手したが,上皇他界を悲しみ稿本を焼却したり,再度の作業過程中にも,対幕府関係をおもんばかる関白道家・教実父子の意向により100首余(おそらく後鳥羽院らの歌)を切り出すなどの経緯を経て,35年(嘉禎1)成立。定家執筆の仮名序には,勅撰集のあるべき姿への信条を読み取れるが,内容的には,俊成,良経,家隆,西行ら新古今歌人以外,親幕派の公家藤原道家,西園寺公経や源実朝,北条泰時ら武家の歌が多く,〈宇治川集〉の異名を得たり,承久の乱関係者の歌が除かれるなどの面があった。歌風の上では,新古今的妖艶美から脱化し,平明端麗で技巧を目立たせない歌が多く,二条家に重視されて,中世歌壇の主流を形成した。定家の歌観の変化もうかがえる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新勅撰和歌集」の意味・わかりやすい解説

新勅撰和歌集
しんちょくせんわかしゅう

鎌倉時代の第9勅撰和歌集。 20巻。 1374首。貞永1 (1232) 年,藤原定家が後堀河天皇の命を受け,天福2 (34) 年6月に奏覧,翌年3月実質的に完成。組織上では,仮名序があり,雑歌に5巻をあて,なかに哀傷,離別,雑体を含む点が注目される。撰歌範囲は『古今集』の時代から当代までだが,当代を重んじている。主要歌人は藤原家隆,良経,俊成,公経,慈円,源実朝,藤原道家,雅経など。撰進直前の承久の乱で隠岐に配流された後鳥羽上皇ら3上皇の作品はまったくとられていない。権力者藤原道家らの圧力で削除された結果かという。源実朝をはじめ関東武士の歌が多いことから「宇治川集」とあだ名されるなど,必ずしも世評はよくなかった。歌風は平明,質実で,華麗な『新古今集』と著しい対照を示す。二条家中心の後代和歌界で重んじられた。

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世界大百科事典(旧版)内の新勅撰和歌集の言及

【十三代集】より

…勅撰和歌集(二十一代集)のうち,第9集以後の《新勅撰和歌集》《続(しよく)後撰和歌集》《続古今和歌集》《続拾遺和歌集》《新後撰和歌集》《玉葉和歌集》《続千載和歌集》《続後拾遺和歌集》《風雅和歌集》《新千載和歌集》《新拾遺和歌集》《新後拾遺和歌集》《新続古今和歌集》の13の集をいう。 勅撰和歌集は,八代集の最後を飾る《新古今集》で芸術至上主義的な極致に達し,その後は歌の家としての権威を確立した御子左(みこひだり)家,特にその嫡流の二条家の主導で,平明を基調として展開する。…

※「新勅撰和歌集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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