スコトゥス・エリウゲナ(読み)すことぅすえりうげな(その他表記)Johannes Scotus Eriugena

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スコトゥス・エリウゲナ」の意味・わかりやすい解説

スコトゥス・エリウゲナ
すことぅすえりうげな
Johannes Scotus Eriugena
(810ころ―877ころ)

ヨーロッパ中世初期の神学者、哲学者。アイルランドに生まれ、当時その地で培われていた古典文化の教養を身につけ、847年以前にカール2世に招かれてパリで教育・研究活動に従事したが、王の死後消息は不明である。851年ごろ当時の神学論争に携わって、アウグスティヌス的傾向の強い『予定論』を書く。ボエティウスの註解(ちゅうかい)を通じて信仰の論理的考究の方法を明確化し、また偽ディオニシウス(ディオニシウス・アレオパギタ)文書を翻訳して、ラテン世界にこの特異な新プラトン主義的思想を導入した。主著『自然の区分について』は新プラトン主義的傾向の顕著なキリスト教神学であり、神に発して神に至る全存在の円環的運動を描く、8~10世紀を通じて類例をみない壮大な思弁的体系である。この著作はあまりに大きな理性への評価と汎神(はんしん)論的傾向のために、教会からはしばしば異端と断罪されながら、西欧の神秘主義思想の重要な一源泉となった。

[坂口ふみ 2015年1月20日]

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