改訂新版 世界大百科事典 「スピンエコー」の意味・わかりやすい解説
スピンエコー
spin echo
核磁気共鳴(核スピン共鳴)または電子スピン共鳴を観測するための一方法として利用される現象。最もよく利用される方法では,静磁場中のスピンに回転座標系内で磁化を90度倒すような高周波を入射(90度パルス)し,t秒後に180度パルスをかけると,そのt秒後(初めのパルスから2t秒後)に位相が一致して自由誘導減衰が観測される。第1のパルスによって開始された信号が第2のパルスによって逆行して出発点に戻る様子がエコー(こだま)に似ているところからこの名がある。180度パルス後に得られるシグナル強度は90度パルス後の強度と等しいはずであるが,実際には縦緩和によって強度が減少する。その程度はtの長さと縦緩和時間に依存する。その関係を利用して核スピンの縦緩和時間の測定が行われる。
→磁気緩和
執筆者:竹内 敬人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報