核スピン(読み)かくスピン(英語表記)nuclear spin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「核スピン」の意味・わかりやすい解説

核スピン
かくスピン
nuclear spin

原子核がその重心系でもつ全角運動量。ℏ(プランク定数h を 2π で割ったもの)を単位としてはかる。核スピンはその原子核を構成する陽子および中性子の固有のスピン角運動量(大きさ 1/2)と,それらの粒子が原子核内を運動しているためにもつ軌道角運動量を合成したもので,質量数偶数ならば核スピンは整数,奇数ならば半奇数である。核スピンは原子核の種類と状態によって決まる固有の量で,通常ある核種の核スピンとはその原子核の基底状態における核スピンをいう。質量数が偶数で原子番号が偶数の原子核の基底状態での核スピンは 0である。核スピンの値は普通あまり大きくないが,高い励起状態では 10以上の値をとることがある。核スピンが整数の状態の原子核はボース統計に,半奇数の状態の原子核はフェルミ統計に従う。

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