改訂新版 世界大百科事典 「スメント」の意味・わかりやすい解説
スメント
Rudolf Smend
生没年:1882-1975
ドイツの公法学者,教会法学者。1911年以降グライフスバルト,チュービンゲン,ボン,ベルリンの各大学教授を歴任したが,35年ナチス政権によりベルリン大学を追われ,ゲッティンゲン大学に移籍した。統合Integrationの概念を国法学に応用した統合理論Integrationslehreの提唱者として有名。国家を,法律,裁判判決,行政活動等々の〈源〉たる静態的な存在としてではなく,〈絶えざる更新,再生産の過程(統合過程)の中にのみ存在する精神的現実〉として把握するところから出発するその動態的公法理論は,ワイマール期のドイツにおいて,一方でいわゆる法実証主義的公法学と厳しく対立するとともに,他方では同じく法実証主義批判の立場に立つカール・シュミットの決断主義等とも対立した。第2次大戦後の西ドイツにおいても,憲法学の主流のみならず,基本権をめぐる連邦憲法裁判所の判例等に対して,大きな影響を及ぼしている。
執筆者:藤田 宙靖
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