日本大百科全書(ニッポニカ) 「スラーエルホフ」の意味・わかりやすい解説
スラーエルホフ
すらーえるほふ
Jan Jacob Slauerhoff
(1898―1936)
オランダの小説家、詩人。アムステルダムで医学を修め、船医となり中国や南米に旅する。ありきたりの市民生活を嫌い、荒漠とした処女地にあこがれ、すべてが美しかったよき昔に帰ろうとするロマン主義作家。詩集に、自由奔放な詩風の『群島』(1923)、『律義な船員の墓』(1936)がある。短編集に『春の小島』(1930)、『水泡(みなわ)と灰』(1930)があり、詩人カモンイスの追放を描いた小説『禁断の地』(1931)、麻薬に冒された人生を扱った小説『大地に生きる』(1934)は、いずれも中国大陸に題材を得た作品である。
[近藤紀子]