日本大百科全書(ニッポニカ) 「スルツエイ火山」の意味・わかりやすい解説
スルツエイ火山
するつえいかざん
Surtsey Volcano
アイスランドの南方約30キロメートル(ベストマン諸島南端)の水深約130メートルの海底から、1963~67年の噴火で誕生したアルカリ玄武岩の活火山島。標高174メートル。島名は「火の巨人」の意。63年11月14日、海底噴火による新島誕生が発見された。海水がマグマと接触し、激しいマグマ水蒸気爆発が反復された。ここでは溶岩の破片や土砂が黒煙となって、水中から激しく糸杉状に放出された。新島の成長で陸上の噴火に変わったため、64年4月から玄武岩質らしい溶岩活動に転じた。長さ約400メートルの割れ目からの噴火で、場所を移しながら67年5月5日まで活動を続け、総量約1.1立方キロメートルの溶岩を噴出し、面積3平方キロメートル弱の新島を形成した。近年まれな海底大噴火で、とくに新火山島誕生の経過が記録された点で世界的に著名であり、その記録映画や写真がよく紹介されている。島は大部分が緻密(ちみつ)な溶岩流で覆われている。
[諏訪 彰・中田節也]