改訂新版 世界大百科事典 「セミカルバゾン」の意味・わかりやすい解説
セミカルバゾン
semicarbazone
一般式RCH=NNHCONH2あるいはRR′C=NNHCONH2。セミカルバジドSemi-carbazido H2NCONHNH2がアルデヒドまたはケトンと脱水縮合して生成する化合物の総称。
セミカルバゾンは一般に難溶性で,元のアルデヒドやケトンに比べて融点が高く,しかも結晶性のよい物質である。この性質を利用し,アルデヒド,ケトン類の同定に用いられる。すなわち,アルデヒド,ケトンが液体でしかも少量の場合,そのセミカルバゾンに変換し,その融点を測定することによって構造を確認する。しかし現在では,赤外線吸収スペクトルや核磁気共鳴吸収スペクトルなどにアルデヒドやケトン類は特徴的な吸収を示すことから,このような機器分析技術の発達によって,セミカルバゾンのもつ役割はほとんどなくなってきている。
執筆者:奈良坂 紘一+吉藤 正明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報