化学辞典 第2版 「セレン化物」の解説
セレン化物
セレンカブツ
selenides
セレンが陰性元素として結合した化合物の総称.【Ⅰ】金属との化合物:単体間の直接反応,またはH2Seとの反応でMⅠ2Se-Ⅱ,MⅡ Se-Ⅱが得られる.K2Seは,無色,吸湿性の立方晶系結晶.空気中に放置するとSeを析出して黒ずむ.水に可溶.MⅡSeのM = Zn,Cd,HgはⅡ-Ⅵ族半導体,M = PbはⅡ-Ⅳ族半導体.ZnSeは,黄色の立方晶系結晶.密度5.42 g cm-3(15 ℃).水に不溶,希硝酸に可溶.化学蒸着法でつくられる高純度ZnSeは重要な赤外線用光学材料.CdSeは,白または褐色の立方または六方晶系結晶.日光で赤変する.密度5.8 g cm-3.水に不溶.n型半導体,光伝導体,受光・発光素子,赤色顔料などに利用される.[CAS 1312-74-9:K2Se][CAS 1315-09-9:ZnSe][CAS 1306-24-7:CdSe]【Ⅱ】非金属との化合物:H2Se([別用語参照]セラン)ほか,窒素とN4Se4を,炭素とCSe2をつくる.CSe2は光にさらされると,とくに不安定である.N4Se4は刺激に敏感な爆発性の橙赤色の粉末.[CAS 506-80-9:CSe2][CAS 12033-88-4:N4Se4]【Ⅲ】有機セレン化物:R2Se(R = アルキルまたはアリール基).ジメチルセレニド(CH3)2Se,ジエチルセレニド(C2H5)2Seなど多くの安定な化合物がある.一方のHをRで置換したものはセレノールRHSeとよばれ,エタンセレノールC2H5SeHなどがある.[CAS 593-79-3:(CH3)2Se][CAS 627-53-2:(C2H5)2Se]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報