ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「センベーヌ・ウスマン」の意味・わかりやすい解説
センベーヌ・ウスマン
Sembene Ousmane
[没]2007.6.9. セネガル,ダカール
セネガルの作家,現代アフリカを代表する映画監督。フランス語で執筆。少年時代は故郷で漁民の手伝いなどをしていたが,のちダカールに出て石工,機械工,修理工などをして生計を立てた。1939年には第2次世界大戦に歩兵としてフランス軍に加わり,イタリア,ドイツ,北アフリカで戦った。セネガルに帰り労働運動に参加したのち再度フランスに渡り,マルセイユで波止場労働者をしながら作品を書き始めた。港湾労働者の労働組合長としても活躍,アメリカ黒人の抵抗文学,ソビエト連邦の社会主義小説の影響を強く受けた。その後,ソ連,中国,キューバなどを訪問。1961年モスクワのゴーリキー・スタジオで映画技術を学び,フランス語とウォロフ語での映画制作に監督として携わった。1983年セネガル・ペンクラブ会長。代表作に,小説『黒い沖仲仕』Le Docker noir(1956),『セネガルの息子』O Pays,mon beau peuple!(1957),『神の森の木々』Les Bouts de bois de Dieu(1960),『ハルマッタン』L'Harmattan(1964),『不能者』 Xala(1974),『帝国の最後の男』 Le Dernier de lempire(1981)。ウォロフ語による映画作品として『エミタイ』Emitai(1976),『チェド』Ceddo(1976)などが有名。ほかに『ボルタイック作品集』Voltaïques(1962)など。(→アフリカ文学)
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