改訂新版 世界大百科事典 「ソキエタス」の意味・わかりやすい解説
ソキエタス
societas
共通の目的を達成するために,数人の当事者が相互に給付を約することによって成立する契約にもとづいて形成されたローマ時代の組合。各当事者は資金,物品,技術,権利,労働などを提供し,おのおのは他にとり決めがなければ利益も損失も同様に分けあった。ローマ法の古典時代には組合はその目的に従って,全財産の組合,獲得財産の組合,特定の事業の組合,特定の物または行為の組合の4種類に分類された。前2世紀ころから大規模に行われたのが獲得財産を共通とすべきことを約する組合であった。ローマの拡大と経済の発展にともなって,数人の共同の財産で共同の事業を行うことが,徴税請負や軍需品製造業や運送業などのように大資本を必要とし個人ではなしえないような各種の事業について,しきりに見られるようになった。
執筆者:市川 雅俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報