ソロネッツ
そろねっつ
solonets
内陸乾燥地域の排水不良地におけるソロンチャク化作用(塩類化作用)に続いておこる変化で、ソロネッツ化作用(アルカリ化作用)を受けた土壌。ソロンチャクの塩類集積物が溶脱され、ナトリウムが分解過程で一時的に水酸化ナトリウムとなるため、強アルカリ性を呈する。溶脱層の下部は激しい水分の移動によって垂直方向の割れ目ができ、特徴的な柱状構造を示す。pH9前後のアルカリとなり、アカザなどの特殊な草本しか生育できない。表層付近が腐植の集積による暗色を呈するので、アメリカではこの土壌をブラックアルカリ土とよぶ。ソロンチャクからソロネッツへの作用の移行は、盆地内の地形環境の変化による地下水位の低下、あるいは降水量の増加によっておこるものとみられる。
[浅海重夫]
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のソロネッツの言及
【アルカリ土壌】より
…アメリカ・ネバダ州での実験(1962)では,1エーカー当り18tのセッコウ資材を施用することにより,牧草の収穫量が0.05tから1.02tまで増加したという報告がある。アルカリ可溶の黒色腐植酸が土壌表面に集積すると黒色を呈し,黒色アルカリ土壌black alkali soilまたはソロネッツsolonets土壌と呼ばれ,ときにはこれを指すこともある。白色の[塩類土壌]も通称白色アルカリ土壌white alkali soilまたはソロンチャクsolonchakと呼ばれてはいるが,pH7.0~8.0の弱アルカリ性を示す土壌が多く,白色アルカリ土壌のすべてがアルカリ土壌の範疇(はんちゆう)に入るわけではない。…
【土壌型】より
…停滞水の影響が一年中続いている場合には,下層土が弱いグライ化作用を受けて淡青灰,灰白,黄灰色などを呈する停滞水グライ土が生ずる。(3)乾燥気候地域に分布する成帯内性土壌型 代表的なものは,ソロンチャク,ソロネッツ,ソロチである。ソロンチャクは塩類に富んだ地下水が毛管上昇して地表面から蒸発するときに,土壌内部や土壌表面に塩化物や硫酸塩などの可溶性塩類が集積してできた土壌で,おもにステップ,乾燥ステップ,半砂漠,砂漠地帯に形成されている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」