日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイワンダイ」の意味・わかりやすい解説
タイワンダイ
たいわんだい / 台湾鯛
Taiwan seabream
[学] Argyrops bleekeri
硬骨魚綱スズキ目タイ科マダイ亜科の海水魚。高知県、南西諸島、台湾、東シナ海、南シナ海、トンキン湾、インドネシアなどの海域に分布する。体は卵形で体高が高く(体長は体高の1.9倍以下)、強く側扁(そくへん)する。上下両顎(りょうがく)前部に各2対の犬歯があり、側部には2列の臼歯(きゅうし)がある。臼歯はやや強い。背びれ棘(きょく)は11本で、第1棘はごく短く、第2棘より後方の数棘は柔らかくて、延長して糸状を呈する。全長約50センチメートル。体は淡紅色で、体側に4~5条の幅広い濃赤色横帯があり、幼魚ほど鮮明である。体側にコバルト色の小斑(しょうはん)点はない。尾びれの後縁は黒くなく、下縁は白くない。成魚は沖合いに生息するが、幼魚は内湾でもみられる。おもに底引網、釣りで漁獲される。白身の肉で、刺身、焼き物、煮つけなどにすると美味である。臀(しり)びれ軟条は8本あることでマダイに近縁である。また、背びれが伸長することでインドダイに近いが、インドダイは背びれ第3棘より後方が長いことで本種と区別できる。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年7月19日]