日本大百科全書(ニッポニカ) 「タケカ」の意味・わかりやすい解説
タケカ
たけか / 茸蚊
fungus gnats
mushroom flies
昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目原カ群タケカ科Mycetophilidaeの昆虫の総称。従来はキノコバエとよばれたが、系統上の取扱いから改称された。小形から中形のカに似た昆虫であるが、口吻(こうふん)は短く、吸血はしない。頭部は小さく、触角は一般に長い糸状で、11~17節。胸部背面は丸く膨れ、横線を欠き、小楯板(しょうじゅんばん)は小さい。はねは透明で無色、または黄色みを帯びたもの、顕著な斑紋(はんもん)のあるものもあるが、真の中室を欠く。脚(あし)の各脛節(けいせつ)末端には距棘(きょきょく)がよく発達する。腹部は細長く、左右両側から圧されたようにやや扁平(へんぺい)となる。幼虫は細長い有頭のウジで、キノコ類や腐植物中に生育し、繭をつくって蛹化(ようか)するものもある。成虫は山間の林中や渓流付近の湿っぽい場所に群生するものが多い。タケカ科は、はねの脈相や触角の特徴から、オオタケカ科Sciophilidae、タケカ科(狭義の科名)Mycetophilidae、ホソタケカ科Bolitophilidae、ヒゲブトタケカ科Ceroplatidae、ヒゲナガタケカ科Macroceridaeの諸科に細分されることがある。
[伊藤修四郎]