改訂新版 世界大百科事典 「キノコバエ」の意味・わかりやすい解説
キノコバエ
fungus gnat
双翅目長角亜目キノコバエ科Mycetophilidaeに属する昆虫の総称。幼虫期に大部分の種がキノコに寄生するのでこの名がある。小型ないし中型,脚は細長く繊細。触角は数珠状。単眼は存在する。翅は発達したものから痕跡的なものまであり,翅脈は単純。成虫は,森林,洞穴の入口,倒木や岩の下など湿気の多い,うす暗いところに生息する。温暖な地方では,一年中どれかの種が出現する。世界で約2000種知られているが,日本では150種くらい記録があるのみで,生態などもほとんど不明である。幼虫は,キノコに寄生し,主として傘部に侵入する。湿った土や落葉下,木材の中などに生息する種もある。ナカモンキノコバエは,シイタケなど10種類以上のキノコから発生した記録がある。本種のほかにも,ホソキノコバエ類など食用キノコの害虫として知られているものもある。キノコの寿命が短いことから,幼虫の発育は早く,約1週間で老熟して蛹化(ようか)する。
執筆者:篠永 哲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報