日本大百科全書(ニッポニカ) 「タライ平野」の意味・わかりやすい解説
タライ平野
たらいへいや
Tarai
インド北部、ヒマラヤ山脈の南に沿って、ガンジス平野北部に細長く広がる地域。テライTeraiともいう。ヒマラヤ山脈から流下した河川は山麓(さんろく)に粗粒な砂礫(されき)からなるババールBhabarとよばれる扇状地性の地帯を形成し、河水は地下に浸透するが、扇端にあたる部分で湧出(ゆうしゅつ)する。この地域は傾斜は緩やかなうえ、降水量も多く、湧水と相まってきわめて湿潤な平野を形成する。河川は蛇行し、流路を変え、各所に泉、湿地、池が点在し、大河川の旧流路には三日月湖が残される。排水が悪く、湿地には背の高い草が生い茂り猛獣のすみかともなっている。カや寄生虫が多く、マラリア、フィラリアなどの発生地区となっている。土壌水分が高いため、野菜栽培に不適なうえ、飲料水となる地下水が汚染される問題がある。しかし、土地は肥沃(ひよく)で、人口密度が低いため農業地域としての将来性が高く、今後の開発が期待される。
[中田 高]