日本大百科全書(ニッポニカ) 「タンボラ火山」の意味・わかりやすい解説
タンボラ火山
たんぼらかざん
Gunung Tambora
インドネシア中部、小スンダ列島のスンバワ島にある活火山。アルカリ岩の白榴石(はくりゅうせき)ベイサナイト、白榴石テフライトを主とする成層火山で、標高2850メートル。長い休眠ののち、1812~1815年に噴火した。とくに1815年4月の噴火に伴ってカルデラが生じた。この噴火による噴出物量は約150立方キロメートル、噴火の総エネルギー1027エルグと見積もられる。1800年以降、世界中でもっとも大きな規模の噴火である。爆発音は1500キロメートル以上先まで聞こえ、500キロメートル先まで降灰で3日間真っ暗になった。この噴火により直径6キロメートル、深さ1100メートルのカルデラが誕生した。噴火の直接の死者約1万人、餓死者を含めると9万2000人で、犠牲者数も世界噴火史上最大である。多くの犠牲者が出たのは噴火に伴う餓死が原因であった。この大噴火の後、火山灰と硫酸のミストの影響で太陽光がさえぎられ、世界中の気温が低下した。1819年と1847~1917年にも爆発を繰り返し、後者ではカルデラの底の南西部に火口ができ溶岩流も発生した。また近くは1967年に噴火がおこった。
[諏訪 彰・中田節也]