日本大百科全書(ニッポニカ) 「スンバワ島」の意味・わかりやすい解説
スンバワ島
すんばわとう
Sumbawa
インドネシアの小スンダ列島中部にある島。面積1万3980平方キロメートル。島の西にはロンボク島が、東にはフロレス島がある。東西に細長い島で起伏に富み、海岸線はきわめて複雑である。北部には、1815年に大噴火をおこしたタンボラ火山(2851メートル)がそびえる。南東沖合いのスンバ島と同様ウマとビャクダンの産地として知られる。とくにウマは、ジャワ島の各都市の旅客用馬車に利用されるため盛んに飼育されている。土地は肥沃(ひよく)でトウモロコシ、綿花、タバコ、米を産する。中心地は東部のラバ。
[上野福男]
住民
スンバワ島は人口106万4598人(1995)、スンバワ、ドンプ、ビマの3県からなり、西部にスンバワ人(約30万人)、東部にビマ人・ドンプ人(約50万人)が居住する。言語系統論上、スンバワ語は西部オーストロネシア語派バリ・ササク語群に、ビマ語は同語派ビマ・スンバ語群に属し、隣接地域ながら著しい対比をなす。王国形成は14世紀ごろにさかのぼるといわれ、ヒンドゥー教や仏教の影響を示す遺跡の存在も知られている。17世紀に入ると、ビマ国、スンバワ国は一時期、マカッサル人のゴワ王国(南スラウェシ)の勢力下に入り、そのもとでイスラム化した。これ以後はマカッサル文化の影響を受けつつ、オランダによる植民地化(1905)を経てインドネシア独立に至るまでスルタンによる統治が続いた。東部インドネシアではイスラムの影響が強い地域でもある。近年は、島外への出稼ぎ・移住者が多く、とくにサウジアラビア、マレーシアへ多くの女性労働者を送り出している。
[伊藤 眞]