日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダクティロイ」の意味・わかりやすい解説
ダクティロイ
だくてぃろい
Daktyloi
ギリシア神話の山の精霊。ギリシア語ダクティロス(指)の複数形で、「イデ山の指」とよばれる。冶金(やきん)の術と魔術に通じていた。その由来は諸説があり、はっきりしないが、イデ山はフリギアにある山で、ダクティロイはキベレと同一視されたレア(またはレイア)の召使いで、鉄を発見し、鍛冶(かじ)の技術を発明したとされる。またイデ山をクレタにある山として、クレテスと同様幼いゼウスの番をしたともいわれ、さらには幼いゼウスを慰めるためにオリンピアの競技を創始したともされる。小人であったとも巨人であったともいわれ、その数も3人、5人、10人、52人などとさまざまである。母親はイデ山のニンフであったり、ゼウスの乳母(うば)が指の間から背後へ投げたごみから生まれたともいう。
[伊藤照夫]