改訂新版 世界大百科事典 「ダルバ草」の意味・わかりやすい解説
ダルバ草 (ダルバそう)
darbha[サンスクリツト]
インドの宗教儀礼の中でさまざまに用いられ,聖草とされる植物。クシャkuśa草とも呼ばれる。代表例としてEragrostis cynosuroidesが同定されるが,時代,地方の差によりさまざまな類似の植物が利用されてきた。特に浄化力(悪しき力をはらう作用)が強調され,ベーダの祭式では祭場,祭火にまいてこれを清め,また祭具に加工されソーマや酥油(ギー)を清める濾過器として,祭場を掃き清める箒として,神々を勧請し供物をささげる皿を置くための座としてなど,さまざまに用いられる一方,《アタルバ・ベーダ》の呪法から現代の民俗の中にまで見られる護符としての使用法(編んで腕輪にする)も重要である。
執筆者:高橋 明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報