改訂新版 世界大百科事典 「ダーヤバーガ学派」の意味・わかりやすい解説
ダーヤバーガ学派 (ダーヤバーガがくは)
Dāyabhāga
インドの2ヒンドゥー法学派の一つ。《ダーヤバーガ》は11世紀末ベンガルでジームータバーハナJīmūtavāhanaが著した合同家族と相続に関する法律書で,後世これの注釈があいついで作られ,ベンガルの法学派が形成され,イギリス支配時代にはベンガルのヒンドゥー家族法の法源とされた。インドの他の地方の法源となったミタークシャラー学派の法に対して,この法では,家父長は大きな権限をもち,家産に対する息子の権利は出生によって生ずるのではなく,父の死後に生ずるとされ,息子たちや叔父・甥が家産を合同に所有する場合,各人はそれぞれの持分をもち,その分は他の成員の同意を得ることなしに処分できた。息子がいない場合,寡婦が相続権をもち,それに次ぐ相続人は血縁関係の遠近によるのではなく,宗教的な祭祀の関係によって定められた。
執筆者:山崎 利男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報