普及版 字通 の解説
14画
(異体字)
15画
[字訓] うえる・とどまる・へた・つまずく
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
若木の根を包みこんで植える形。下部はその根の形。植えこんで、それが定着することをいう。〔説文〕四下に「礙(さへぎ)られて行かざるなり。(けい)に從ふ。引きて之れを止むるなり。なるは、馬のを(つな)ぐが如し。冂(けい)に從ふ。此れ牽(けん)と同なり」(段注本)という。牽は牛に鼻を施して牽く意の字であるが、とは全く意象の異なる字で、馬に鼻綱を使うこともない。字は全体が象形。苗木の定着することから、止まる意となる。金文の〔秦公(しんこうき)〕に「眉壽無疆にして、(なが)く(とど)まりて天に在り」、また〔秦公鐘〕に「くまりて位に在り」のように用いる。花果のへたは堅く定着するものであるから、をその意に用い、〔礼記、曲礼上〕「士には之れをす」とあり、のへたを取ることをいう。天子にはへたを取り八つ切り、国君には四つ切りする定めであった。「躓(つまず)く」意に用いるのは、へたのようなものに躓く意で、躓(ち)がその形声字である。
[訓義]
1. うえる、うえこむ。苗木をうえる形。
2. とどまる、根がかたまる。
3. へた、花果のへた。
4. つまずく、ふむ、たおれる、さえぎる、とめる。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕 棗李の、皆り。保曾(ほぞ)。今按ずるに、の字とず 〔字鏡集〕 ツマヅク・ヒヅメ・セム
[声系]
〔説文〕に声として嚏(ち)を収める。嚏は気息がさえぎられて、「くさめ」をする意の字である。
[語系]
・嚏tiei、躓・窒・tietは声近く、窒・は礙(さまた)げ止められる意でと近く、その噴出するものは嚏、礙るものにふれて倒れることを躓(ち)という。
[下接語]
徐・跋
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報