日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャプスイ」の意味・わかりやすい解説
チャプスイ
ちゃぷすい / 雑砕
中国、広東(カントン)料理の名。この料理は、食通家として有名であった清(しん)代の李鴻章(りこうしょう)が、広東地方に行ったとき、乞食(こじき)たちが残り物を集め、鍋(なべ)に入れて煮て食べていた。それがたいへんおいしそうなにおいがしたので、自宅でそれをつくらせて食べたところ美味であった、それ以来一般に普及したという。また炊き合わせる材料を刻む(chop)の意味から、アメリカの人たちはこの種の中国料理を「チャプスイ」と称しているが、名の起源はさだかではない。本来の料理名からいえば、「什景雑会(シーチンツアーホイ)」であるが、チャプスイの名のほうが有名である。野菜類、ブタ、アヒル、魚、アワビ、タケノコなどを煮合わせて汁とともに食する料理で、味も塩、しょうゆが主であるが、材料、調味ともに自由なところにこの料理の特徴がある。これは一般総菜(そうざい)料理なので、筵席(イエンシー)(宴会席)などには用いない。
[野村万千代]