改訂新版 世界大百科事典 「チョウトリカズラ」の意味・わかりやすい解説
チョウトリカズラ
Araujia sericofera Brot.
ガガイモ科の常緑のつる性低木。花は鐘状で先端は5片に分かれ,花弁は白色で赤のぼかしがあり,よい香りがする。温室で観賞用に植えられる。原産地はブラジル,アルゼンチン。高さ3~4mになり,茎は棒形で緑色をなし,傷をつけると白い乳汁が出る。対生する葉は長楕円状披針形で先はとがり,基部は截形(せつけい)またはくさび形で葉柄は長い。葉の表は淡緑色。裏面は白粉におおわれ白く見える。葉腋(ようえき)から出る花序に数花が散房状につく。花は白色合弁花で,鐘状をなし,基部は袋状にややふくらみ,細長い花柄と5枚の萼がある。表面には短い毛状の突起がある。花筒は長さ2~3cm,先は5裂して平開し,その径は約3cmほど。果実は莢(さや)をなし,球形で先がとがり,端に長い絹糸状の毛を総状につけた種子が多数入っている。繁殖は実生または挿木で行う。挿木は春に新しい枝を10cmくらいに切り,砂などにさす。25℃くらいの温度が発根しやすい。
執筆者:古里 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報